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0
-
有理数
有理数は, 任意多倍長整数 (bignum) により実現されている. 有理数は常に
既約分数で表現される.
1
-
倍精度浮動小数
マシンの提供する倍精度浮動小数である. Asir の起動時には,
通常の形式で入力された浮動小数はこの型に変換される. ただし,
ctrl() により bigfloat が選択されている場合には
bigfloat に変換される.
[0] 1.2;
1.2
[1] 1.2e-1000;
0
[2] ctrl("bigfloat",1);
1
[3] 1.2e-1000;
1.20000000000000000513 E-1000
倍精度浮動小数と有理数の演算は, 有理数が浮動小数に変換されて,
浮動小数として演算される.
2
-
代数的数
See section 代数的数に関する演算.
3
-
bigfloat
bigfloat は, Asir では PARI ライブラリにより
実現されている. PARI においては, bigfloat は, 仮数部
のみ任意多倍長で, 指数部は 1 ワード以内の整数に限られている.
ctrl() で bigfloat を選択することにより, 以後の浮動小数
の入力は bigfloat として扱われる. 精度はデフォルトでは
10 進 9 桁程度であるが, setprec() により指定可能である.
[0] ctrl("bigfloat",1);
1
[1] eval(2^(1/2));
1.414213562373095048763788073031
[2] setprec(100);
9
[3] eval(2^(1/2));
1.41421356237309504880168872420969807856967187537694807317654396116148
eval() は, 引数に含まれる函数値を可能な限り数値化する函数である.
setprec() で指定された桁数は, 結果の精度を保証するものではなく,
PARI 内部で用いられる表現のサイズを示すことに注意すべきである.
(See section eval , deval , section pari .)
4
-
複素数
複素数は, 有理数, 倍精度浮動小数, bigfloat を実部, 虚部として
a+b*@i (@i は虚数単位) として与えられる数である. 実部, 虚部は
それぞれ real() , imag() で取り出せる.
5
-
小標数の有限素体の元
ここで言う小標数とは, 標数が 2^27 未満のもののことである. このような有限
体は, 現在のところグレブナ基底計算において内部的に用いられ, 有限体係数の
分散表現多項式の係数を取り出すことで得られる. それ自身は属する有限体に関
する情報は持たず, setmod() で設定されている素数 p を用いて
GF(p) 上での演算が適用される.
6
-
大標数の有限素体の元
標数として任意の素数がとれる.
この型の数は, 整数に対しsimp_ff を適用することにより得られる.
7
-
標数 2 の有限体の元
標数 2 の任意の有限体の元を表現する. 標数 2 の有限体 F は, 拡大次数
[F:GF(2)] を n とすれば, GF(2) 上既約な n 次多項式 f(t) により
F=GF(2)[t]/(f(t)) とあらわされる. さらに, GF(2)[t] の元 g は, f(t)
も含めて自然な仕方でビット列とみなされるため, 形式上は, F の元
g mod f は, g, f をあらわす 2 つのビット列で表現することができる.
F の元を入力するいくつかの方法が用意されている.
-
@
@ はその後ろに数字, 文字を伴って, ヒストリや特殊な数をあらわすが,
単独で現れた場合には, F=GF(2)[t]/(f(t)) における t mod f をあらわす.
よって, @ の多項式として F の元を入力できる. (@^10+@+1 など)
-
ptogf2n
任意変数の 1 変数多項式を, ptogf2n により対応する F の元に変換する.
-
ntogf2n
任意の自然数を, 自然な仕方で F の元とみなす. 自然数としては, 10 進,
16 進 (0x で始まる), 2 進 (0b で始まる) で入力が可能である.
-
その他
多項式の係数を丸ごと F の元に変換するような場合, simp_ff
により変換できる.
大標数素体の標数, 標数 2 の有限体の定義多項式は, setmod_ff
で設定する.
有限体の元どうしの演算では, setmod_ff により設定されている
modulus で, 属する体が分かり, その中で演算が行われる.
一方が有理数の場合には, その有理数は自動的に現在設定されている
有限体の元に変換され, 演算が行われる.
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